オヤジ雑記

【オヤジ雑記】「不死身の特攻兵」なる本を読んでちょっと昔を思い出した話。

※この記事は約 10 分で読めます。

最近久しぶりに活字だけの本を読みました。
太平洋戦争時代のノンフィクション小説なんですが、それを読んで少しだけ昔のことを思い出しましたのでなるべくネタバレのないようにただ書き連ねていきます。
もちろんマイルは関係ありません。

 

今回読んだ本「不死身の特攻兵」

不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか (講談社現代新書) [ 鴻上 尚史 ]

価格:950円
(2018/3/24 20:24時点)

この本は、佐々木友次さんという当時の特攻隊員のお話で、この人は何と特攻で9回も駆り出されたのに全て生きて戻ってきた人なんだそうです。
1回生きて戻ることすらほぼありえない特攻隊員が9回も生還するとかすごすぎてわけがわかりませんね。

書いたのは鴻上尚史さん。

鴻上尚史公式ホリプロHPより

なんかテレビでたまに見ますね。
この人こんな本書いてたんだと初めて知りました。

内容ざっくり

著者の鴻上尚史さんが主人公である佐々木友次さんにインタビューした話などを元に彼の特攻から生還した話やその前後の話、またインタビュー内容などをまとめています。

それに加えて、戦後に特攻隊が美化された経緯などにも触れてそれに対する意見なども書かれています。
「特攻隊には隊員が積極的に志願し、祖国のためと微笑んで出撃していった」と当時命令する側だった人間が喧伝したために美化される風潮があるけど実際はそんなもんじゃないという意見です。

それに対してただこの本を読んだだけの私がどうこう述べるのは控えますが、まあ戦時中の異常事態とはいえ特攻隊本人と周りとでは温度差くらいはあって然るべしだろうなという感想は持ちました。

こんなの割と身近になかった?という疑問

当作の後半部に記された「特攻は志願ではなくほとんど命令みたいなもの」というくだりのなかでの実例が記されていました。

「熱望する 希望する 希望せず」と文字が三列に並んで書かれた紙を渡されます。いずれかに丸をつけて提出しろと言われました。
渡される前には「特殊任務にみなが率先して志願してくれることを期待する」という司令官の演説が30分も続きました。
-(中略)-
「希望せず」に丸をつけたあと、上官から呼び出しをくらい、訂正せざるを得なかった隊員もいました。

「不死身の特攻隊」より抜粋

繰り返しますが、特攻隊のことについて私がどうこうという話ではありません。
ある程度思うところはありますが、そんなことをこんな緩いブログで吐き出したところで私より詳しい人にフルボッコにされるのがオチですし、オヤジ雑記で扱うにはテーマがセンシティブすぎて扱いきれないですから。

このくだりについて私が思ったことは、

こんな感じのって子供の頃結構なかった?

ということです。

特に小中学校あたりだとこんな同調圧力的な生徒のコントロールって経験してる人は多いんじゃないでしょうか?私だけですかね?

事例1.姉妹校ペンパル事件

例えば私が経験したところで言うと、
「通っていた小学校の姉妹校の生徒と文通する」という話をある日急に先生がクラスに持ってきます。
国語の授業だったはずなのにいきなりそんな話をされ、生徒たちはそこで初めて姉妹校の存在から知ることになるわけです。
最初の20分くらいは文通の意義とかその辺(内容は詳しく覚えていません)をそこそこ熱く語り、

先生

希望者だけではあるけれども、君たちのためにかけがえのない経験になると思うので是非みんなに参加してほしいと思う

とか言っちゃうわけです。なんじゃそりゃ。

その後に希望の是非を回答する紙が回ってきて、それにやりたいかやりたくないかを書いて提出するわけですね。
周りの賢い子達はそこで、
「ああこれは希望しとかないといけないやつだ」
と気づいたのか、もしくはただうまいこと乗せられただけなのかはわかりませんが、ちゃんと「やる」に○をつけて提出していました。

友達曰く、

友達1

えー何か面白そうじゃない?

友達2

やらなきゃならないんじゃないの?

といった感じです。

もちろん察しの悪い私は別にやりたくも何ともなかったので「やらない」に○をつけて提出、休み時間にほとんどの人がやることになっていたことに驚いた記憶があります。

案の定放課後に職員室へと呼び出され、私の意志を覆させるべく話し出す先生。

先生

お前は自分の知らないことに対して消極的なのが悪いところだ。それを先生は心配している。

先生

クラスのみんなはちゃんとやりたいと言っている。お前はそうじゃないのか?

先生

今回のことを通じて成長できるとは思わないか?いいことだと思うぞ?

さすがに怒鳴ったりとかそういうのはなかったですが、こんな感じで小学生の私を追い詰めていくわけです。

小学生ワイ

じゃあもう強制で授業としてやればいいんじゃないの?

こんなことを思いましたがそこは大人の圧を感じている小心者の小学生ですからさすがに口には出せません。
結局何だかモヤモヤしたまま、先生の思惑通り希望することにさせられました。
これが高校生とかだったら私も屁理屈の一つもこねて突っぱねることはできたんでしょうが如何せん小学生の身ですから力量の差は歴然です。

結局その後、授業の中でよくわからない手紙を書かされることになるんですが、その手紙が先方に届いたのかもよくわからず、その後のフィードバックなどもなかったような気がします。
未だに何のためにやらされたのかもわからず、ましてや自分のためになったことは何一つありません。ほんとに何なん?

乗せられていた友達衆も、その頃にはとっくに冷めていて、その後の経過を先生に尋ねる人は誰もいませんでした。
下手に口にしてしまうとクラスを挙げて第二弾が始まるかもしれないという懸念がありましたからね。

結局授業でやることになったのになぜわざわざ希望制という建前を取り入れたのかは未だにわかりません。
実質的にトップダウンでも「児童たちが熱望して」という体裁を取る必要は果たしてあったのでしょうか?

ちなみに私の通っていた根室市立某小学校のホームページを見ても姉妹校の記載は全く見当たりません。
ついでに言うと何年も更新された形跡はありません。ほぼ故人サイト状態で消したほうがマシなレベルです。

事例2.作文みんな一緒だった事件

これに関しては私ではなく周りの生徒達で、ペンパル事件と比べてかなり記憶が曖昧なので、逆に何か知っている方がいたら教えていただきたいです。

30年くらい前ですかねえ、たしか市内の小学生だか中学生による「北方領土に関する弁論大会」的なものだったと思うんですが、何人かの生徒がリハーサルで原稿を読んだんですよ。
曖昧で恐縮ですが、そのリハーサルはなぜか小学生当時通っていた塾で行われたと記憶しています。
その塾で私が属していたのは多学年混成クラスだったため、参加者は中学生だったかもしれません。吐きそうなほどうろ覚えですね。
塾でリハが行われた理由は未だにわかりません。

私は参加者ではなかったので他の人が読んでいるのをただ聞いているだけだったのですが、その内容に愕然としました。

なぜかそこで発表した作文が、
「島には暮らしている人が既にいて、彼らを追い出してまで北方領土返還を求めるのは間違いだ」
という論調だったんですよ。

いや、これちょっと30年後の今でもわけがわかりません。
何ならちょっと恐怖です。

もちろん、北方領土に対して様々な意見があるのは当然なのですが、当時の根室市で返還否定派が主流だったわけでもありません。
むしろ根室市内のいたるところに北方領土返還を求めるスローガンなどが掲げられているんですから、普段踏み込んだ話はしないにせよ返還を望むことはある程度共通認識なのだと子供ながらに考えていたわけです。

それが口を揃えて、

読み手1

既に住んでいる人から土地を奪うなんてかわいそう

読み手2

戦争で島を取り返すなんて酷い

ですからね。

何かもう戦争を起こして北方領土を奪還すること前提で返還派を糾弾する場になってしまっていました。
小中学生の作文ですよ!?

作文を書いた人達に何が起こったのかは私にはわかりません。
その意味ではこの記事で当事例を引き合いに出すのは適切ではないのかもしれませんが、私は真っ先にこのことを思い出したので触れてしまいました。
どう考えてもこれらの論調は小中学生が自らこぞって押し出すようなものではないと子供の頭でも察するほど異様だったからです。

それらの作文を書いた子供たちの先生や周りの大人の誰かが主張を押し付けたのか、はたまたその弁論大会自体が返還否定派のための大会でそれに沿った意見だけを集約して参加者を決めていたのか、今となってはわかりません。
そもそもなぜ全く関係ないはずの塾(英語塾ですよ?)でそんなリハーサルが行われたのか、今となっては謎が多すぎます。まさか夢?

※そのへんを少し調べてみたところ、根室では毎年、「根室市少年弁論大会」なるものが開催されているようで、自由議題の部と北方領土の部の2部構成で中学生が作文を発表しているようです。
これのことかははっきりとわかりませんがこれの可能性もあります。
ただこちらはふわっとした理想論を述べた生徒が優勝する傾向はあるものの、返還推進を否定するような立場に偏っているわけではないようですね。
謎は深まるばかりです。

まとめ

何だか本の感想を書くつもりがいつの間にか自分語りをするという自分大好きっぷりを曝け出してしまいましたが、結局言いたかったことはこんな感じです。

  • 実際は強制でも、希望したように偽装するというのは今も昔も変わらない。
  • 希望偽装は両者の力の差があると発現しやすくなる。

これだけの感想が言いたいが為によくわからないボヤッとした思い出を語ったわけです。反省しています。

希望を偽装するというのは、やられた方はたまったものではないですが、曲げる側の上の人にしてみたらこれ以上ないくらいに都合のいいやり方です。
何せ覆させる過程は密室で行われるため証拠は残らず、最終的に希望すると記した紙だけが残るわけですからこんな都合のいいことはありません。
そう考えると、このやり方が昔から存在し、現在も利用されているというのも納得です。

結局、安易に集団の意志をコントロールしようと思ったらやることなんて限られているんだなー、という感想を持ちましたよ、というお話です。

やられた方は一生根に持ちますけどね!

 

ではまた!

 

ちなみにこの本自体にご興味のある方は下のリンクからも買えます。

↓紙の本はこちら

不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか (講談社現代新書) [ 鴻上 尚史 ]

価格:950円
(2018/3/24 20:24時点)

↓電子書籍はこちら

不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか【電子書籍】[ 鴻上尚史 ]

価格:864円
(2018/3/25 00:36時点)


ABOUT ME
NECOMUG
社畜のおっさんですが地道にゆるくマイルを貯めています。 最終的な野望は根室遷都ですよ。